6月3日より開催の展覧会

 


展示タイトル 「幻肢」Op.2
会期 6月3日〜8日
時間 12時〜20時(最終日は17時まで)

ステイトメント

「幻肢」とは、事故や病気が原因で手足を失った人や生まれながらにして手足を持たない人が、もう存在しないはずの手足を依然そこに存在するかのように感じることである。
外界から強制的に断ち切られた時間と光の塊である「写真」は、さながら四肢のない肉体ともいえるだろう。

1960年代後半から70年代前半にかけての日本美術の動向「もの派」の作品群が志向していたのは、極限まで制作の意図や要素を削ぎ落とし「表現しない」ことによって「表現する」ことであり、それは物体を解体し本質を剥き出しにすることで生じた余白に新たな何かを出現させる行為であった。
芸術家のクリスト&ジャンヌ=クロード夫妻は、都市のアイコンとなるような著名な建造物を梱包しその形状や色彩を曖昧にすることで、その建造物に対してこれまで人々が持っていたイメージを覆し新たなイメージを表出させることに成功した。

撮影によって光を断片化することで外界をより純粋な光の塊にする、既にあるイメージを覆い隠す、現実世界との繫がりが極めて強いという性質を持つ「写真」は、そのことで生じた余白によって「幻肢」を獲得する。

しかし写っていない部分や、覆い隠されたであろう物が存在していたかどうかは、鑑賞者あるいは撮影者ですら知るよしもなく、作品上で視認できる被写体がただその瞬間そこにあった事実だけが存在するのである。



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